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ジャコメッティ展 [EXHIBITION]

針金人間に会いに…。

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6/17 22:33 ものすごくくだらない画像を追加しました。

おそらく10年前のアタシだったら、この展覧会はスルーしていただろう。
作品は美術の教科書にも出てくるくらい有名だが
以前はさして興味のある分野ではなかったからだ。
ところが、美術検定の勉強を始めてみると
「ジャコメッティ」って名前が結構出てくるし、それに関する出題も少なくない。
そんな感じで脳内に刷り込まれていくうちに、徐々に興味が湧いてきた。
それでもホンットに有名な作品しか知らないので
今回の展覧会での一番の興味は

「この人、こういう針金っぽい作品の他にはどんなのがあるんだろう?」

ということだった。

前売券を買い、しかも初日の6月14日に行ってきた。
01_giacometi.jpg
場所は六本木、国立新美術館。
草間彌生展もミュシャ展も終了し、美術館らしい落ち着きを取り戻した感が漂っている。

時刻は11時ちょい過ぎ。
本当は展覧会を観てからお昼にしようと思っていたのだけど
どうにもお腹が空いてしまったので、先にランチをとることにして
地下の《カフェテリア・ガレ》へ。

何かジャコメッティ展限定メニューがあるといいなと期待していたが
残念ながらそういったものはなかったので
「美術館開館10周年記念特別セット」を注文。
02_penne.jpg
「季節の野菜とベーコンのトマトソースペンネ」。
フツーに美味しかった〜(*^^*)。

そういえば、東京ミッドタウンも10周年。
このあたりって、その頃にパァーッと再開発が進んだんだねぇ。
個人的には、同じ六本木でもヒルズ方面よりも
こっちの雰囲気の方がなんだか不思議と落ち着く。

お腹が満足したところで、いよいよ展示室へ。
結果的にお昼を先に食べておいたのは正解だった。
思った以上に興味深く、ついついじっくり時間をかけて観てしまい
全部観終わるのに丸々2時間を要してしまったからだ。

アルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)はスイス生まれの彫刻家・画家。
今まで彫刻作品しか知らなかったけど、
実は絵画や版画作品も多いといことを今回の展覧会で知った。

生まれはスイスだが、20歳でパリに渡り、ブールデルに弟子入りした。
一番最初のセクションでは、1930年代までの初期作品が紹介されている。
一時はシュルレアリスム運動にも参加するけれども、1935年には離脱。
音声ガイドの解説によれば
「グループを除名されてホッとした。
 世間と一切の交際を断ったことで僕は幸福になった」
のだそうだ。
…なんか、わかる気がする。
シュルレアリストのグループとそのメンバーって面倒臭そうだもの(笑)。

このセクションでは『鼻』という作品が強烈に印象的。
ジャコメッティの多くの作品がそうであるように、
これは一度観たら絶対に忘れられないだろう。

シュルレアリスムから離れたジャコメッティは、
モデルを置いて彫刻を制作するようになるのだけれど
作品はどんどん小さくなっていく。
モデルに似せようとすればするほど小さくなってしまったのだそうで
台座を合わせても高さ数センチしかない、
マッチ箱に入れて持ち歩けるほどの小さな人物像が展示されている。

特に、『歩く男』、『頭部』、『女性立像』という
3つの小像が並べられた展示ケースがあるのだけど、
壁に沿った平たいケースで、ガラスから作品までの距離が短いので、
みんなついつい鼻先をガラスに近づけて、ジッと作品に見入っている…。
(これが後々ちょっと恥ずかしいことになっていることを知る…^^;)。

この頃の作品を指して、ジャコメッティと交流のあったサルトルは
ジャコメッティの作品こそが「実存主義」を表現していると評価したそうだ。
日本でも、実存主義がもてはやされた’60年代、
ジャコメッティの作品は全共闘の間で特に支持されていたらしい。


第3のセクションでは、いくつもの「女性立像」が展示されている。
どれも細長く引き延ばされた、いかにもジャコメッティな女性の彫刻だ。
どんどん小さくなっていくことに抵抗していたら、
今度はどんどん細長くなってしまったそうだ。

ジャコメッティは、その製作態度のストイックさから
禁欲的な人物だと思われがちだが、実はそんなことはなく女性には事欠かず
しかも超スレンダーな作品とは対照的に、
理想的な女性像としてマリリン・モンローを挙げていた、
…と、音声ガイドのスペシャルトラックで山田五郎氏が解説していた。


1940年代後半から、ジャコメッティは
一つの台座の上に複数の細長い人物像を配した作品に取り組み始める。
ここで個人的に「カッコいい!」と感じたのは
『3人の男のグループ I (3人の歩く男たち)』という作品。
人が絶え間なく往来する街路の情景に着想を得たそうで
3人の細長い人物が、それぞれ別の方向に向かって歩いている。
3人の距離は物凄く近いのだけど、それはほんの一瞬のことで
決して交じり合うことなく遠ざかっていく…そんな動きが浮かんでくる。


中盤から先の展示では、絵画作品も数多く展示されている。
鉛筆を使って素早い筆致で描いた、人物のデッサンが面白い。
夥しい数の線で、同じ線をなぞるように描かれているんだけど
それは一見、長電話をしてる時なんかに、手元にあったメモ紙などに
無意識に繰り返し同じ線をなぞって描いてしまう
ぐじゃぐじゃの落書きみたいな感じでもある(^^;。

特にジャコメッティは「生きたまなざし」を捉えることに執着していたので、
目の周りに線が集中していて黒っぽくなっているので
なんだかまるで骸骨のような容貌になってしまっているのだ。

でもこんな線だらけの人間でも、『書物のための下絵』なんかでは
描かれた人物の動きや表情が活き活きと伝わってくるのが
さすが…!と思った。


終盤は再び彫刻作品がメインの展示になるのだけど
その前に、日本人哲学者・矢内原伊作との交流を紹介したコーナーがある。
そこに矢内原氏と一緒に撮った写真が何枚かあるのだけど
ジャコメッティの姿が、なんだかボブ・ディランのようだった。


もとい、終盤の彫刻作品だが、
1951年、それまで人物ばかりを制作してきたジャコメッティは
いくつかの動物の彫刻を制作した。ここで紹介されているのは『犬』と『猫』。

自らの姿を投影したという『犬』は、ひたすらカッコいい。
非の打ち所がないくらいカッコいい。
ところが『猫』…。
いつも正面からこちらに向かってくる猫の姿を表した作品なのだが
なるほど正面から観ると、こちらに向かって歩いてくる猫に見える。
だが、横に回って観てみると…思わず「ぷっっっ( ̄m ̄)。」
猫の体が大変なことになってしまっているのだった(^o^;。


次の次の展示室では、1956年にベネツィア・ビエンナーレに出品するために制作された
9体の『ヴェネツィアの女』という作品が並んでいる。
1つ1つが独立した作品だが、三角形の台座の上に一見ランダムに
(でも実は慎重に計算されて)並べられている。
それを斜めあるいは横から観ると、まるで芝居の舞台のように見える。
が、正面に回って観ると…
なんだか墓石のように見えてきた(←個人の意見です)。

そこを抜けると、広い展示室に大きな彫刻作品が3体。
『大きな女性立像 II』『大きな頭部』そして『歩く男 I』。
ここだけは撮影が許可されている。
03_giacometti.jpg
『女性立像』は高さ276cm。『頭部』は95cm。

04_giacometti.jpg
『歩く男』は183cm。うわ〜、こんなにデカかったんだ!(◎_◎)。


そしてこの展示室にはちょっとした面白い仕掛けがあり…
…これから行く人のためにネタバレはしないでおくけれども( ̄ー ̄)
「フォォォォォーーー!(^o^;」と、少し前の自分の姿を思い出して
ちょっと恥ずかしくなったりするけれど、
次の瞬間、この粋な演出に感動すら覚えるのであった。

ちなみに、この大きな彫刻3体は、元々はニューヨークの
チェース・マンハッタン銀行の前の広場に設置することを目的に構想されたのだけど
残念ながらこのプロジェクトは実現しなかったとのこと。

3体とも細長くて針金みたいな体つきだけれども、とても力強い。
ジャコメッティの彫刻作品を観てきて思ったのだけど
みんなしっかり前を向いて、しかも若干上向き加減で凛としている。

音声ガイドで山田五郎氏はこんな風に言っていた。
「ジャコメッティの《縮み志向》と《引き算の美学》は
 日本の茶室や、石庭に通じるところがあり、
 ジャコメッティの作品を最も理解出来るのは日本人なのではないか」。

…言い得て妙である。


『ジャコメッティ展』…かなり見応えのある面白い展覧会であった。




最後はお馴染み、展覧会グッズ販売コーナー。
『歩く男』とか『犬』の、ミニチュアフィギュアかなんかあるといいなーと
期待していたんだけど、残念ながらそのテのものはなく
クリアファイルやマグネット、缶バッジ、トートバッグなど
意外なことにド定番なものばかりだった。

なので、ポストカード4枚とブックマーカー(つまりしおり)を購入。
07_cards.jpg
ブックマーカーは年代別に4種類あって
1950’sの『犬』と迷ったけれど、ここはやっぱり1960’sの『歩く男』で。

ド定番ばかりではあるが、消え物グッズがなかなかイイ味を出している。

「ジャコリントウ」というかりんとう、
「ジャコメッTEA」という和紅茶、
「ジャ米ッティ」という日本酒、
「奢香滅体(じゃこめってい)」なんてお香もあった
 (↑字が違ってるかも)
って、全部ダジャレかぃ!!!。

とか言いながら、ちょっと美味しそうだったので「ジャコリントウ」購入(^o^;。
06_giacorinto.jpg
エスプレッソ味と、黒胡椒・味噌味の2種類。
大人の味で美味しかった(*^^*)。


このあとは、丸の内の出光美術館に行こう〜と思って
スマホのアプリで路線検索をかけたんだけど…
05_walkingman.jpg
もはやこのちっちゃい人が「歩く男」にしか見えなかった。
(まぁよく見るとだいぶ違うんだけどね^^;ゞ)




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6/17 22:33 追記

ジャコリントウの(正しくない)楽しみ方。
08_giacorinto.jpg
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コメント 8

うさぼん

こんばんは。私もこの展覧会は気になっております。ジャコメッティは美術検定の本で知ったクチで、一度観たら忘れられない強烈なインパクトでした。早く行こうと思います。
by うさぼん (2017-06-15 22:28) 

梅屋千年堂

>うさぼんさん
まだそれほど混んでおらず、ゆっくり鑑賞できましたが
これからいろんなメディアで取り上げられると
混雑してくるかも知れないので、早めに行くのがいいかもですね。
ジャコメッティの彫刻作品、実物はカッコいいですよ!。

by 梅屋千年堂 (2017-06-15 23:51) 

うさぼん

笑いました~。ウマ過ぎます!このような使い方もあるのですね。
by うさぼん (2017-06-24 21:40) 

梅屋千年堂

>うさぼんさん
ジャコメッティさん、ごめんなさ〜い===ヘ( ;^^)ノ。
でも、このパッケージが…
いかにも「作ってみて下さい」って感じじゃないですか?。

by 梅屋千年堂 (2017-06-24 21:53) 

こたろう

針金人間さんたちって、ちゃんと支えなしで立たれているんですか?

梅屋さんレポを読ませていただき、最初の感想がコレ…自分でも苦笑です。
by こたろう (2017-06-27 06:08) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
針金人間さんは、針金のように見えますが
実際はブロンズで出来ていて、大きな足が土台にくっついてますので
みなさんしっかり自立しておられます。
一見細くて儚げですが、実はとっても力強いパワーを発しているように思います。

by 梅屋千年堂 (2017-06-28 01:14) 

こたろう

ありがとうございます(^_^)
ブロンズでもポキッといきそうな感じに見えましたが、どっしりしているんですね。
でも移動が…運んでくるの、大変そう。(みるとこはそこじゃないと思うのですが)
by こたろう (2017-06-29 05:54) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
これだけの展示数ですからね。輸送も大変だったと思います。
ちなみに展示のレイアウトを決めるのに、
一部、等身大のカキワリを使ったりもしていたようですよ。

by 梅屋千年堂 (2017-07-06 21:58) 

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